容姿・経歴・その他メモ

「膠着を打開する」「不利な状況から挽回する」といったミッションを得手とするマスターエージェント。

当人の直接戦闘能力は低いとされる一方、他者を誘導し、問題を解決する能力に長ける。

コードウェル博士から銘を与えられたマスターレイスのひとりでもあるが、それ以前のコードネーム――“キーメーカー”――にちなんで“マスターキー”と称されることも多い。

Personality - 人物像

Principle

裏社会の権力構造を破壊する

Hobby

とくになし

Favorite

利用できるもの、実力行使、手間のかからない食事、五年前の自分たち

Dislike

役に立たないもの、実力（暴力や政治力）、五年前の自分たち

Power - 能力

現象活殺能力(Syndrome Fluctuator)。

任意の現象に対して、「賦活(インクリメント)」または「滅殺(デクリメント)」の作用をもたらす能力。

熱エネルギーや運動エネルギーに適用する例が、最もわかりやすいだろう。熱を「賦活」すればより高温になり、運動を「滅殺」すれば静止に向かう。

肉眼では（環境次第だが）「賦活」が主に“白い光”、「滅殺」が“黒い影”として観測される。これは周囲の可視光線が副作用を受けるため。

この「賦活」の力によって、生後まもない時点で保護者を欠きながらもみずからの命を維持した。

その後、五年前までは主に「生体電流の増幅と、それによる運動能力の増進」のかたちで、ブラックドッグシンドロームとして発揮されていた。

ファルスハーツに接触したのちは、同組織内の技術や資源をもちいて自らの能力を調整。

自身の直接的な武力ではなく、より大局的な状況に対応できる形に変化させた。

それに際する身体への外科的改造・投薬などの措置により、運動能力や視力の低下といった反動があらわれている。

物理現象にかぎらず、抽象的な概念に対しても適用可能――ではあれど、より侵蝕(リスク)や消耗(コスト)が増大する傾向にある。

条件次第では戦略核クラスのエネルギーを「滅殺」しきることも可能……というのがコードウェル博士の見解であるが、実際に試された記録はない。

Career - 来歴

出生

東南アジアの某スラムにて、生後まもなく（なんらかの事件によって）親が死亡する。

本人は生来的にオーヴァードであったため、その状況下でも生き延び、成長することになる。

幼少期

スラムで盗みをはたらいたり暴力をふるったりしながら過ごす。

「ソラ」という名前は、この時期に手に入れたもの。その名で呼ばれた人物が死ぬ場面に居合わせ、それをくすねた。

（なお、アルファベットにおける綴りは“SOLA”である）

５＋ｎ年前

現地ＵＧＮに（野良オーヴァードとして）確保される。

以降、ＵＧＮチルドレン相当となる。

組織に属するような性分ではなかったものの、寝食が確保されることには利点を感じたもよう。

ＵＧＮ側もあつかいに難儀しつつも、実技の能力が優秀であったため、人手不足とあいまって利用しない手はなかったようだ。

手綱をとりやすくするためか、のちに高月琦および｛ＰＣ①｝とのスリーマンセルが結成された。

当時のコードネームは“夜のない空(ミッドナイトサン)”。

５年前

ハンドアウトに書かれている事案が発生する。

事案の後、みずから命を断つ――

――そののち、無意識化で発揮された自身の能力によって蘇生。

際して、「自死を図れない」ことを中心に、精神にいくつかの変容をきたす。

（これは臨死のショックによるものか、生命活動を維持するためにレネゲイドがそうさせたか、と当時ＵＧＮでは推測された。真相は不明）

同時に、高月琦および｛ＰＣ①｝についての記憶を部分的に失った。

（意味記憶はほとんど維持されているが、高月琦の殉職にまつわるエピソード記憶を中心に欠落している）

以降、ＵＧＮ内で後送され、療養措置となる。

療養期間中に支部が壊滅し、その後の消息は不明。

５－ｎ年前～

マーセナリーとしてファルスハーツに接触。独特の能力で難しいミッションを複数こなし、実績を積み上げた。

のちに正式なエージェントとして所属。

現在では、マスターレイスのひとりとなるまでに存在感を強めている。

Relations - 周辺人物

高月琦(がお・ゆえちー)

故人。かつてのチームメイトであり、当時は三人のなかでリーダー的ポジションだった。

燐（ＰＣ①）

かつてのチームメイト。

現在もＵＧＮに所属しているらしい――とは把握しているが、まったくの没交渉である。意図的に避けているのかもしれない。

アルフレッド・Ｊ・コードウェル

マスターレイスの称号を与えられた。アルフレッド側から指令のたぐいがあることはなく、その真意は不明。

ソラとしては“ある種の特権的地位を得られること”自体は利用できると判断し、とくに拒絶の意志を示してはいない。

黒須左京(くろす・さきょう)

ファルスハーツ内で活動をはじめてしばらくしたころ、とあるミッションの途中で邂逅したことがある。

互いに馴れ合いを好まない姿勢でありながら、限定的に利害が一致したことと、その気性の近さをもって一時的に共闘した。

当時はちょうど視力の問題が顕在化していた時期であり、共闘期間中に左京から眼鏡を借りた。

返す前に本人が行方をくらませたため、今もそれは手元にのこっている。（自分用の眼鏡とは別）

――かれとの接触がコードウェル博士の目に留まった理由のひとつであるが、それを知る者は博士の他にいない。

フィオナ・ランカスター

コードウェルの子のひとりであるという立場を利用し、ランカスターグループやＵＧＮの動向を探るために利用している。

違うモノ

スラムという場所には、孤児(みなしご)がしばしばいる。

そもそも人が死にやすい。子供という弱みがあればなおさらだし、逆にそれを嫌ってみずから捨てる者もいる。

少女は、そんな“たくさん”のうちのひとりだった。

生後まもない――自力で動きまわることすらできぬうちに、孤児となった。

むろんのこと、力なき者(こども)に待つ運命は、ほとんど死のほかにない。酔狂者に拾われでもしないかぎりは。

しかし、少女の場合、その摂理(あたりまえ)は適用されなかった。

幸か不幸か、少女はオーヴァードだったから。

殺意あるナイフや銃ですら奪われない命(モノ)が、たかが飢餓や風雨でうしなわれる理由はなかった。

誰が観察していたわけでもないが、少女は尋常の人間よりも早く育った。

数ヶ月のうちには――安全国の基準でいうところの――小学生くらいの体格を得て、ほかの孤児たちに混ざって生きるようになった。

少女はそこで、いくつかの技術と知識を身につけた。

後ろ盾や養い手のない者にとって、日々の糧を得る手段はかぎられている。ゴミ漁りと盗み。あるいは、それらが過激化(はってん)した形での、強奪。

実践の機会は、少女にいくらかの学びと、だれかのものだったはずの名前を与えた。

もっとも、標的が大人しく奪われてくれるわけもないし、周りの者も似たようなことを企てているのだ。数日に一度くらいの頻度で、何人が消えていった。

だから本来は、経験を蓄積できるような環境ではない――積み上がった石山を崩すかのごとく、死はすべてを薙ぎ払っていく。

少女のような、例外(オーヴァード)を除いて。

同じモノ

何年かののち、少女はとある集団に確保――あるいは捕獲――された。

ＵＧＮと名乗るかれらは、少女と同様の“例外”の側だった。

すこしのあいだ少女は抵抗を試みたが、ほどなくその出会いを受け容れることにした。

スラム(これまで)よりはマシな生活ができそうだったから。

それと、自分と“同じ”ような者たちに興味をもったから。

訓練やら教育やらと称される、よくわからない時間となんとなく付き合って、いくらも過ぎたころ――

少女は、ふたりの少女と対面した。

いわく、この三人でひとつのチームらしい。

教官の評価するところ、ソラという少女は“団体行動が苦手”とされていたが――じつのところ、だれかと接するのは嫌いではなかった。もとよりスラム時代は、顔ぶれこそ変わり続けていたものの、おおむねそうしていたのだ。

だからソラは、この邂逅をわるいものではないと思った。

実際、三人組で過ごす日々は、少女のこれまでとは異なるものだった。

同じようなチカラをもつ者同士で――そしてそれゆえ、いままでのだれか(みんな)と違って、いなくなったりしなかったから。

なくしたモノ

月が空から姿を消した。

少女はもうひとりとともに拠点にもどって、そしてそのあと己を殺した。

なくならないと思っていたものが、なくなった。

もうひとつのものも、なくなるかもしれない。

自分勝手に抱いていた期待が裏切られて、そう自覚しながら、だから自分勝手に自分を消そうとした。

少女の掌はいつもどおりに力を発揮して、圧迫された頸部は、容易く生命維持(やくわり)を放棄した。

すこし後、だれかが発見したころには、少女は正しく死んでいた。

誤算だったのは――少女は“例外”のなかでも、ことさらに死にづらい性質(モノ)であること。

はたして、少女はふたたび動き出した。

孤児となったときのように。

死の横たわるスラムのなかで、ひとりだけありつづけたように。

少女は命をうしなわなかったが、代わりになくしたものがあった。

自分を消そうとした経緯(こと)。

なぜそうしたのかという理由(こと)。

事実だけを正確に把握しながら、因果関係が欠落していた。

なぜか首に残る痕だけが、忘れたモノを記憶している。

月は、空から姿を消した。

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