“貪喰神”グルオーン
(第二の剣/大神:アルフレイム大陸)聖印と神像
グルオーンの聖印は、大皿のシルエットです。その具体的な形状は、信徒の属する文化ごとに異なり、丼のようなものや、杯のようなものもあります。
神像は、ぎらついた雰囲気の男性の姿をとることが多く、かならず何かしらの食料とともに象られます。典型的には、穀物の詰まった麻袋であったり、狩猟されたばかりの獣や魚であったりします。
神格と教義
グルオーンは、食事にまつわる神です。食事による満足を是とし、そのための努力を惜しまないことを教義としています。この“努力”には、望む食べものを得るための、あらゆる行為――採集や狩猟はもちろんのこと、略奪なども――を内包しています。グルオーンの教えにおいては、美味なる食材を前にしてそれを奪わないことは、悪徳となるのです。
はるか昔、“海掠神”エイリャーク(⇒『Ⅱ』362頁,『ET』50頁)の軍勢に、とある上陸部隊の長であった、ひとりの男がいました。戦いにおいて劣勢を強いられた男は、部下たちの士気を立て直すため、略奪と、奪った物資による宴を企図しました。これは大いに当たり、欲望のままに暴れ狂う兵たちは、めざましい戦果をあげることとなりました。この功績によって、エイリャークから引き上げられ、グルオーンは大神となったのです。
グルオーンの信者は、もっぱら蛮族です。主に上位蛮族以外に対してひろく浸透しており、オーガ族やミノタウロス族にはとくに多く見られます。また、直接は信仰しておらずとも、グルオーン信徒の蛮族に従えられるかたちで、妖魔が教義に適う振る舞いをしている例もあります。
具体的な実践の在り方は、個々の種族や個体ごとにさまざまです。手当たり次第に狩りと摂食を繰り返す者もあれば、専属の料理人を召し抱えて美食を追究する者もあります。これは、生態や価値観が種族によって大きく異なる、蛮族の性質を反映してのものであり、士気のためにそうした差異を認めたグルオーンの気質でもあります。
人族が信仰している例は、すくなくとも真っ当な人族のコミュニティにおいては、まず見られません。グルオーンの教義を人族社会で実践した場合、ほぼ確実に犯罪者となるからです。しかし逆説的に、野盗や山賊などの犯罪者のたぐいには、グルオーンの信徒もごく少数ながら存在します。
格言
「皿を満たし、そして思うさま空けよ」
「肉に遠慮すべからず」
「実りも蓄えも、すべて腹の内へ」
他の神との関係
“海掠神”エイリャーク
上述のとおり、グルオーンはエイリャークによって引き上げられました。
“食福神”ミィルズ
真っ向から対立する思想をもつ“食福神”ミィルズ(⇒『MA』47頁)とは、仇敵の関係にあったと伝えられています。
特殊神聖魔法
- 2
- 【サーチ・
フーズ】
- 消費
- MP6
- 対象
- 全エリア(半径30m)/
すべて
- 射程/
形状 - 術者/
―
- 時間
- 一瞬
- 抵抗
- 必中
- 概要
- 食べものの所在を探知する
- 効果
効果範囲内にある食べものの所在を探知します。探知できるのは所在のみであり、具体的にいかなる食べものであるのかは、この魔法ではわかりません。
“食べもの”の定義は、術者の主観によります。(もっぱら魚のみを糧とする個体が行使すれば穀物などは探知しませんし、人食いの蛮族が行使したならば人族を探知し得ます)
探知された存在がキャラクターであるなら、この魔法を使われたことを感知します。術者が誰なのかや、その所在などはわかりません。
この魔法は、行使に10分をかければ「対象:全エリア(半径50m)/すべて」「消費:MP12」、1時間をかければ「対象:全エリア(半径100m)/すべて」「消費:MP24」となります。
- 4
- 【リッチ・
ライフ】
- 消費
- MP3
- 対象
- 術者
- 射程/
形状 - 術者/
―
- 時間
- 1時間
- 抵抗
- 任意
- 概要
- 満腹するまでの食事によってHPを全回復
- 効果
物質的に満たされることで心身を癒します。
この魔法の効果時間中に、満腹するまでの食事をすると、HPが最大値まで回復します。食事の具体的な内容は問いませんが、術者の嗜好に適ったものでなければならず、原則として、〈保存食〉ではそれを満たせません。なお、この回復が発生した時点で、この魔法の効果は消滅します。
この回復を受けられるのは、1日につき3回まで、かつ、前回の(この魔法による)回復から6時間以上をおいている場合にかぎられます。
- 7
- 【ボールド・
プリアレンジメント】
- 消費
- MP10
- 対象
- 1体
- 射程/
形状 - 2(30m)/
起点指定
- 時間
- 一瞬
- 抵抗
- 半減
- 属性
- 断空 or 衝撃
- 概要
- 「威力20/C値⑨」断空属性 or 「威力40/C値⑫」衝撃属性のダメージ
- 効果
戦いの中で、気の刃や衝撃波をもちいて、獲物に対する下ごしらえを敢行します。
この魔法は、術者の主観において捕食可能な存在のみを対象にとれます。
対象に、「威力20/C値⑨+魔力」点の断空属性の魔法ダメージか、「威力40/C値⑫+魔力」点の衝撃属性の魔法ダメージを与えます。いずれを与えるかは、行使時に術者が決定します。《魔法拡大/数》のもと、複数の対象を同時にとっている場合には、一括で決定します(個別には決定できません)。
- 10
- ≫△【セルフ・
スターベイション】
- 消費
- MP12
- 対象
- 術者
- 射程/
形状 - 術者/
―
- 時間
- 一瞬/
永続
- 抵抗
- 任意
- 属性
- 病気
- 概要
- HP最大値減少と引き換えに敏捷度+6、筋力+18
- 効果
自らにあえて飢餓をもたらして生存本能を刺激し、一時的に限界を超えた力を発揮します。
術者は、HPの最大値が「(プリースト技能レベル)×2」点減少することと引き換えに、敏捷度が+6、筋力が+18されます。魔物データのキャラクターの場合、敏捷度は回避力や移動速度、筋力は打撃点など、GMの判断のもとで対応すると思われる数値に反映されます。この効果は病気属性としてあつかいます。
この魔法が持続しているあいだ、【サーチ・フーズ】【リッチ・ライフ】をMP消費なしで行使できます。また、術者は10分ごと、HPの最大値が2ずつ減少していきます。この減少が最初に発生した時点で、前述の能力値の上昇効果は失われます(「(プリースト技能レベル)×2」点のHP最大値の減少は、そのままです)。
この魔法の効果によってHPの最大値が0となるなら、生死判定をおこなわず、ただちに死亡します。
この魔法は、【リッチ・ライフ】か【グラトニー】の効果による回復を受けるとき、その直前に解除され、HPの最大値も元にもどります。
- 13
- 【グラトニー】
- 消費
- MP24
- 対象
- 1体
- 射程/
形状 - 接触/
―
- 時間
- 一瞬
- 抵抗
- 半減
- 属性
- 呪い
- 概要
- 威力50でHPを捕食する
- 効果
対象の活力を直接的に捕食します。
この魔法は、術者の主観において捕食可能な存在のみを対象にとれます。
対象に「威力50+魔力」点の呪い属性の魔法ダメージを与え、同時に、その適用ダメージと同じだけ、術者のHPを回復します。HPの回復効果は、対象が抵抗に成功しても発生します。
【セルフ・スターベイション】が持続しているあいだ、この魔法の行使判定には+2のボーナス修正を受け、さらに「消費:MP12」に変更されます。